※2016年7月30日のブログを加筆修正せいています。
おそらく、これまでの学校教育がそうだったからなのでしょう。学生は、「答えを探すこと」には慣れているのですが、「質問を作り出すこと」には、全く慣れていません。
2020年度の『子どもの音楽(基礎)』の授業では、学生がグループワークを通して、これまでの授業内容の中から質問を考え、その質問を全体化して試験問題にするという取り組みをしました。
ここで、定番の“河本節(ぶし)”が登場します。
「一人の質問、みんなの声」
「また言ってるよ~」という声が聞こえてきそうです。実は、このフレーズ、アドバイザー・グループ(通称:アドグル、高校のクラスみたいな集団)Tシャツにもなったことがあります。(学生が作ったのですよ、作らせたのではありませんから(笑) 短いフレーズなので、卒業生も覚えていてくれることが多く、どうやら2009(平成21)年頃から使い始めていたようです。まだこの頃は、質問の質を高めることの大切さについては、私自身はそれほど意識はしていませんでした。
でも今では、教員が「ここは大切だ〜」と熱弁を振るうよりも、学生からの質問を取り上げて授業を構築していく方が授業の到達目標の達成度が高いと感じています。それが今年の遠隔授業では活かされました。
実は・・・・、
私の授業評価(5点満点)は、10年ほど前まで、
「授業はわかりやすいか:4点」
「熱意があるか:5点」
「質問はしやすいか:2点」
という有りさまだったのです。
つまり・・・・、典型的な一方通行の授業、授業内容はわかっても満足度は決して高くないという授業だったのです。
簡単に言うと、
「わかるけど、楽しくない」
大学の授業に楽しさなんて必要か、という声も聞こえてきそうですが、ここで言う楽しさとは、授業とは関係のない雑談やマナー無視の自由な環境という意味ではありません。純粋に「学ぶことがある時間」として楽しいという意味です。
どんな工夫をしたら、学生が「この授業は楽しくて、ためになる」と感じてくれるのか。
考えた末に辿り着いた方法の一つが、受講後のコメントシートに書かれた学生の声を読み上げるといった、いたって地味な方法でした。BGMを付けてラジオ番組のお便り紹介のコーナーのようにアレンジしてみたんです。
(※日高晤郎さんや吉川のりおさん、和久井薫さんのラジオのアーカイブを聴いて、かなり読む練習したなぁ)
質問(感想を含む)の共有は、「ああ、自分だけじゃなかったんだこの疑問」という安心感を学生に与えました。そして、どんどん質問の質が高まっていき、自分の担当するアドグル以外の学生からも質問や相談が来るようになったのです。遠隔授業だからこそできた方法なのかもしれませんが、対面授業が再開されても、質問の質を高めることは、その学習集団全体の学びの質を高めることに繋がります。「学生からの質問の質を上げる」ことは、巡り巡って、私自身の教養や教え方の向上へと結びついていきます。
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